カセットデッキ PIONEER CT-A7 (基本的な修理)
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家から自転車でいける距離にジャンクハウス?だったかジャンク専門店ができたので、
ジャンク好きの私は自転車をこぎ、雨の気配におびえながらも行ってみることにしました。
期待が大きかったせいもありますが、店内はさほど大きくなくジャンクの品揃えが多い
ハードオフと同じような印象でした。またどちらかと言うとオフハウス向け商品が多かったです。
なお商品的にはS-VHS,EDベータ当まずまず良さそうなものも並んでいてちょっと迷いましたが、
結局200円という安価で売られていたパイオニアの3ヘッドデッキCT-A7だけを購入しました。
このデッキはモデル名等からして、高い評価を得たというCT-A9の弟機だと思われます。
リボンセンダストを録再ヘッドに使用し、頑強なヘッドベースに取り付けられた3ヘッド。
確実なテープ走行を実現した周波数分散型クローズドループデュアルキャプスタン。
また、テープをセットすると自動的にロードするオートローディング、テープのたるみをとるATLC、
電動イジェクトなど、マイクロコンピュータ、モータ等を使った自動制御が採用されていました。
当然ながら、上級機のA9に搭載されていた高性能機構、機能等がいくつか省かれています。
まずキャプスタン駆動のクォーツPLL-DDモーターが一般的なDCモータベルトドライブに。
リールモータもハイトルクコアレスモータから一般的なDCモータなっています。
また外見上ひときわ目を引くワイドレンジメータもワンランク下のものになっています。
(ただこのデッキのメーターも19セグメントあるので一般的に言って結構よいものですが。)
あとオートキャリブレーション機能であるオートBLE(bias,Level,Eq)が無くなり、
マニュアルキャリブレーションすら無いのはせっかくの3HEAD機なのに残念です。
その他わかる範囲ではリニアタイムカウンター、金メッキ仕様の端子等が異なるようです。
買ってきてテストしてみるとキャプスタンも回らず、メカも動かない状態です。早速修理開始します。
まず側面のネジ各2本と背面のネジ1本をはず時トップパネルを取り除きます。
・・・・・・・
なんと中から100円玉が。差し引き110円で手に入れたことになりますね。珍しい事件です。
でもこれが原因で電気系統がショートしたりで、デッキが故障していなかったのはホッとしました。
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フロントパネルを外した
録音、アウトプットボリュームを取り外し、上下3本づつの爪とビスでABS製のフレームに留めてある、
フロントパネルを取り外します。この時爪を折らないよう注意。(私は2本折ってしまいましたが)
次に黒いABS製のフレームを、金属のシャーシに留めてある左右2本ずつのネジを外し、
メカとつながっている4本のネジを取り外します。(写真の4つの赤丸で示されているネジです)
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スイッチ等を外す
フロントの左端にある1,イジェクトボタンがついた基板(写真で言う黄緑の四角、後から爪を外して取る。)
2,タイマースイッチを止めてある2つのネジ(写真で言う2つの赤丸、つまみを引き抜くと見えてくる。)
3,ヘッドホン端子を留めてあるナット(写真で言う青丸、ラジオペンチ等でまわせば取ることができる。)
の3つを取り外します。2と3は方向が変わると不具合があるので取り付けられていた方向等を記録しておきます。
![](cta7_f/image004.jpg)
これでメカにアクセスできる
あとメカとシャーシをつないでいる2本のネジを外せばメカが取り出せます。
このデッキは分解するのがちょっとめんどくさいです
![](cta7_f/image005.jpg)
メカ駆動機構
まずメカを駆動する部分を取り外します。ベルトが伸びていたので交換する必要があります。
(写真では写っていませんが、モータープーリーと右のプーリーをつなぐベルトです。)
![](cta7_f/image006.jpg)
キャプスタンモータ
次にキャプスタンモータが固定されているプレートを取り外します。
普通はモータ単体で取り外す必要はありません。単に写真撮影のためです。
ベルトのスリップを防止するために、プーリーを掃除しておきます。
![](cta7_f/image007.jpg)
リールモータ
これのプーリーも掃除しておきました。
![](cta7_f/image008.jpg)
メカ駆動カム
古いグリスを拭い取り、新しいものを塗布しました。
![](cta7_f/image009.jpg)
ベルト取り付け
ベルトをつけました。黄緑の矢印は裏のロータリーエンコーダの軸で、
裏にあるロータリーエンコーダがメカの状態を電気回路に伝えます。
![](cta7_f/image010.jpg)
メカ駆動カムとの噛み合い
ここらへんがデッキの修理なんかで、袋小路に入り込む原因となりやすいので注意します。
黄緑の矢印がリールブレーキの上下、青い矢印がヘッドブロックの上下を担当。
赤い矢印がカムの中心軸を指し示しています。これらを正確にかみ合わせる必要があります。
![](cta7_f/image011.jpg)
リッド開閉機構
白いカムが赤い矢印のほうに回るとリッドが開き、青い矢印の方向に回るとリッドが閉まります。
正確にかみ合わせるにはまず赤い方向に最大限回します。そうすると黄緑の四角で囲まれた
ローラーが邪魔をして戻らなくなるので、マイナスドライバーなどでどかしつつ白いカムを戻します。
何度か繰り返せばどこでローラーがカムをロックするかがわかるので、その手前でカムを保持しておきます。
![](cta7_f/image012.jpg)
ギアのあわせ
カムを保持したまま、赤丸と青丸で示された位置にある小さな穴同士が合うよう、ギアをかみ合わせます。
このとき、さっきのメカ駆動カムとの噛み合いを参考にしてすべてが指定の溝に入るようにします。
![](cta7_f/image013.jpg)
フライホイール
両キャプスタンを同調して駆動するループベルトも伸びきっていたので、新品と交換しました。(赤い矢印)
それとモータと左に写っているフライホイールとをつなぐベルトも伸びていたので、新品と交換しました。
ちなみに黄緑の矢印で示されるのがリールモータで、左右二つのネジで固定されています。
![](cta7_f/image014.jpg)
メカ前面
これでテープの定速走行は可能になりましたが、早送り、巻き戻しがうまく作動しません。
そのためツルツルになっていたアイドラ(青丸で示す)の表面をヤスリで荒らしておきました。
アイドラを露出させるにはまず化粧パネルを外し、バネがかけられているブレーキを外します。
また、リール台のアイドラと接触する部分とブレーキも、綿棒を使って汚れを落としておきました。
軸に清掃注油をしようと思ったのですが、リール台を取り外す方法が解明できなかったため、
軸につながっていると思われる箇所にクレ5ー56を注しておき対処しました。
--------------- 修理完了---------------
![](cta7_f/image015.jpg)
メカ部分の修理は一通り完了しました。挙動は安定していてメカに異常は無いようです。
今回はデッキ定番の故障だったためあまり悩むことなく修理を終えることができました。
録音をしてみたところ始めの方の音があんまり安定しなかったので、今度コンデンサーを交換するかも。
音に関しては、全体的にバランスのとれた音で、安定しているように思えました。
まあ素子の劣化もあるかもしれませんし、私は音に関してうるさくないので参考にはなりませんが。
思っていたよりもこのデッキは良かったので、以前R-999Xが置いてあった位置に置くことにしました。
![](cta7_f/image016.jpg)
FLレベルメーター
グリーンに光るレベルメーターがきれいです。テープを入れると自動でローディングするのは結構便利です。
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