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ヘッドホンアンプ MZL IA-H2

概要

 最近ヘッドホンアンプの自作の記事をよく目にします。オペアンプ1個のタイプが 流行のようです。私もひとつ作りました。ただ、低インピーダンス形の ヘッドホンはオペアンプの負荷としてはインピーダンスが低いため、トランジスタの 電流バッファを入れたりしている例もあるようです。私は今回、電流バッファ のかわりにトランスを使ってインピーダンス変換をするヘッドホンアンプを作ってみました。

きっかけ

 きっかけとなったのは千石で売っているサンスイのトランスです。ヘッドホンアンプを 作ろうと思って作り始めたというよりも、サンスイのトランスを何かに使ってみたい というのが動機でした。千石で取り扱っているサンスイのトランスにはアウトプット トランスや電源トランスがありますが、小容量なのでヘッドホンアンプ程度が丁度良い 用途だと思います。

←サンスイブランドってのが良いですね。

トランスの利点と欠点

アウトプットトランスを使うとどういう利点や欠点があるかというと

利点
・負荷インピーダンスを自由に変えられる
 今回トランスを使うメインの目的です。低いインピーダンスのヘッドホンに対して オペアンプは十分な電圧を出力できますが、電流はあまり余裕がありません。 トランスでインピーダンス変換を行うことで、ヘッドホンの見かけのインピーダンスが 高くなり、少ない電流で駆動できるようになります。ただ電力は不変なので、 駆動に必要な電圧はその分高くなります。真空管アンプの大部分がアウトプットトランス 付なのはこのためです。

・波形の合成が可能
 今回差動(バランス)出力をトランスで合成し出力しています。

・絶縁が可能
 今回のトランス以前の回路は出力に直流が乗っていますが、トランスで絶縁することで 交流のみの信号を取り出します。

・簡単である
 トランスはハンダ付けすれば簡単につけられます。

欠点
・直流の伝達が出来ない
 トランスでは低い周波数の伝達が難しく、直流の伝達は出来ません。 しかし、ヘッドホンアンプの場合、出力に直流が乗っていてはまずいので、 逆に利点と捉えることができるかもしれません。

・磁気の影響を受けやすい
 電源トランスの漏れ磁束などでハムが乗ったりする場合があるので、 電源トランスと距離を置くほうがいいでしょう。

回路案

 当初考えていた案です。トランスをオペアンプでバランス駆動する方式です。 最初に可変ゲインの反転増幅を行うことで、ボリューム調節を行います。 しかし部品購入当日になって一次側にセンタータップがあるのに気づき、 もっとシンプルにトランジスタのみで組めるのではないかと考えて中止になりました。 ただこっちのほうがオペアンプを色々変えたりする楽しみがあったかもしれません。

試作回路1

 最初に試作したのがこの回路です。増幅はトランジスタ二石のみの単純なもの です。そのままではゲインが大きすぎるので、局部電流帰還を行うことで ゲインを制御しています。この回路ではゲインがヘッドホンのインピーダンスで 決まります。インピーダンスが高いほどゲインが上がるので都合が良いかも。 思ったよりいい音でしたが、低音が弱く感じました。

試作回路2

 トランスを含めた負帰還をかけて、周波数特性の改善を目指しました。 たしかに低音も鳴るようになったと感じました。しかし、直流が乗った 信号を入力すと、すぐクリップしてしまうことが分かりました。 原因は交流的にはトランスを通して負帰還が掛かりますが、直流的には トランスで負帰還が切れて、飽和してしまうからではないかと思います。

最終回路

 そこで再度局部電流帰還を導入しました。直流的にはトランジスタの負荷は トランスの巻き線抵抗のみなので、局部電流帰還としてエミッタ抵抗を入れることで 開ループの直流ゲインは十分小さくなると考えました。実際低音はそのままで、 クリップはしなくなりました。

電源回路

 ブリッジ整流を2つ組み合わせ、アクティブリップルフィルタで ハムを取り除いています。なおアクティブリップルフィルタの コンデンサはタンタルを使用しました。今回使用した差動回路は 電源変動に強く、電源から見ると定電流負荷なのでシンプルな 電源としました。

フロントパネル


 フロントパネルはアクリルの背面に黒色塗装をしたものを採用。 光沢があってなかなかいい感じに仕上がりました。裏に取り付けた 面発光LEDのインジケータが光ります。


リアパネル


 ポータブルオーディオやパソコンが接続しやすいように、RCAプラグと φ3.5のステレオミニプラグ入力を装備。


内部


 回路がシンプルなので、割と余裕があります。

 全体の製作は一週間半とかなり早く完成しました


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