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ヘッドホンアンプ MZL KHP


概要

 友人のk氏に依頼されて制作したヘッドホンアンプです。 このヘッドホンアンプは高インピーダンスヘッドホン専用の設計になっています。 回路には負帰還、レギュレータ、電解コンデンサを使わないA級動作させる というのが依頼内容でした。

増幅回路

 増幅回路はJ-FETのソース共通回路で電圧増幅を行い、二段ダーリントンの コンプリメンタリエミッタフォロアで電流増幅を行うというシンプルなものです。 電源が安定化されていないので、電源のアンバランスによって直流が出ることが わかりました。そのためフィルムコンデンサによるローカットフィルタを 入れました。この結果高インピーダンスヘッドホン以外では使用できなくなりました。 電解コンデンサを使えば可能ですが、フィルムコンデンサではこのぐらいが限度 ですし、セラミックは歪が大きく適しません。音量調節にはロータリースイッチ式の 6段アッテネータを採用。

電源回路

 電源回路は電解コンデンサを使わないように、コンデンサの用量が 小さくても済むチョークインプットとしています。コンデンサは 大容量タイプの積層セラミックコンデンサを使っています。増幅回路 で負帰還をかけず、電源も安定化させていないので、ハムにかなり弱い 回路となってしまいました。そのためトランジスタリップルフィルタを 使いました。これでどうにかハム音がなくなりましたが、かなり苦労しました。

メータ駆動回路

 製作途中でレベルメータを追加してほしいという依頼がありました。 レベルメータの駆動法が分からなかったので、この回路を作るのに 結構手間取りました。対数圧縮などの必要があるのではないかと思った のですが、実際はこのような回路で動作させることが出来ました。 一旦電圧増幅した後、順方向電圧の小さいゲルマニウムダイオードで整流、 ローパスフィルタで平均化したものをバッファ通してメータを駆動します。

上面

 以前イコライザアンプを作ったときに余ったパンチングメタルでふたをしました。

内部

 左側にチョークコイル、中央に電源トランス、右側に回路基板を配置。 もともと余裕があるケースを選択したのですが、開発中にトランスの容量を 大きくしたり、メータを追加したので結構詰まっています。安全のため 100v周りは塩ビでカバーしました。

回路基板

 上面にはローカットフィルタとメータ駆動回路、下面には増幅・電源回路を 配置しています。

電源回路のコンデンサ

 平滑コンデンサは、表面実装形なので、増幅・電源基板の裏面につけてあります。 このコンデンサは秋月で売っています。大容量の割りに安いので助かりました。

フロントパネル


 フロントパネルはレベルメータが目立ちます。音楽に合わせて針が 振れるのが楽しめます。デザインは殆どk氏の指示通りになったと思います。


リアパネル


 電源スイッチ、インレット、入出力ジャックが備えられています。


製作の足跡

03年8月:構想開始

04年1月:提案ページ完成

2月:部品購入開始

5月:初代電源・主回路完成

6月:初代主回路故障

8・9月:ハム対策の研究

9月:DC漏れ問題の対策

10・11月:メータ駆動回路の研究

11月:ケースの加工

12月:ついに完成

3,4月が無いのは就職活動で忙しかったから?
ちょっと特殊な設計だったので完成まで長く掛かりました。

k氏の評価

 私では音質の評価が出来ないのでk氏の評価を許可を得て載せさせていただきました。

基本的にはバランスがよく聞きやすいアンプですが、純度が高く、鮮度はそうない。 薄くベールのかかったような音です。

コメントありがとうございました。


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